最近ブログ(blog)という聞き慣れない言葉が、 読売新聞やニューズウィークといった一般紙で取り上げられている。 ウェブに公開されている個人的な記録を表すウェブログ(Web Log)という言葉が由来だ。 正確な定義はないようだが、外向きのリンクを持つコンテンツが 時系列で新しい順に表示されるものであると言われている。 なぜ急に注目されるようになったのだろうか。
どんなものだろうか
ニューヨークタイムズなどには、 9.11テロ以降に規模が拡大したというような解説がされているが、 もともと日本では、ISP(プロバイダ)の標準サービスに「ホームページ公開」 といったものが含まれていたためか、個人のページが多かった。 逆に言えば、企業や公的機関のオフィシャルな情報があまり多くなかったとも言える。
現在あるブログのほとんどは、各個人の「気になるニュース紹介」「Web日記」だ。 そうした流れを支えてきたのは、 日記ポータルサイトを作るためのtDiaryやニュース更新をチェックするためのはてなアンテナといったオープンソースなプログラムである。 簡単に使えるように専用のサイトを提供する会社も既に多数ある。 ウェブブラウザがスタイルシートに対応するようになって、 内容とデザインを切り離せるため、 凝ったデザインを簡単に作れるようになったことも流行っている一因であろう。
ただし、 それらの多くは、自分と知人以外が読むことはあまり想定していないことや 個人的なの備忘録やリンク集に近いため、 ブログであるかどうかということについては議論があるところだ。
共同作業もブログになる
単に時系列に情報やリンクを載せるだけでは、読者も自分も飽きてしまう。 例えば、戦争をテーマにするブログ(War blog)のように、 ある層の読者を意識して特定の話題を扱うのが本来のブログだという定義もある。 「テキストサイト」と呼ばれる種類のものだ。 例えば、 糸井重里氏が運営する「ほぼ日刊イトイ新聞」 や本サイトなどがある。 各内容については個人が責任を持って書くことは個人のサイトと同じであり、 個人的な興味や意見に従ってまとめるという点がWeb日記とは異なる。
ある程度まとまったコミュニティができると新たな知見が得られる可能性がある。 コミュニティの共同作業をサポートするためのシステムが Wiki (さまざまなクローンがオープンソースソフトウェアとして存在している) などで実現されている。 特定の編集者を用意せずに、お互いの作業をまとめられるという利点がある。
ブログの新しい形態は?
現状では、 ユーザがHTMLを直接書かなくとも、 十分実用かつ見た目にも優れたページを作れるシステムやサイトがあり、 新たなコンテンツを生み出す環境は十分揃っているにもかかわらず、 ブログといってもこれまでの形態と異なる点はあまりなく、 ブログという名前だけが流行っているようにも感じる。 新しい使い方として成立するようになるには、 より魅力的な方法があってもいいはずだ。 例えば、テキストに限らずリッチメディアである音声や映像を簡単に入れられる、 外出先からカメラ付き携帯電話からの画像を使って更新できるなど、 新たな使い方があれば従来のものとの差別化できるだろう。
今後ブロードバンドに慣れ切ったユーザの一部には、 情報発信をすることに楽しみを見出す可能性もある。 そうしたユーザに対するキラーアプリケーションの一つに挙げられる ようになるかもしれない。