街角印刷サービスへの期待

既にさまざまなサービスを提供してくれているコンビニエンスストア(コンビニ)だが、 今年に入ってからも郵便ポストの設置図書館の代行、郵便小包・書留の一時預かりなど、 新たなサービスが展開されている。 次に個人的に希望するのは、気軽に利用できる印刷サービスである。

写真だけではなく普通の印刷も

印刷なら、コンビニだけでなく、 DPEショップやゲームセンターなどでも行われていると思われるかもしれない。 確かに、デジタルカメラや携帯電話で撮影した画像を写真にするサービスは、 今や至るところで始められている。 しかし、外出先で普通紙へ何か印刷しようと思うと、 いわゆるビジネスコンビニに行かなくてはならない。 コンビニと言っても、都心のビジネス街ならそうでもないが、 繁華街や地方都市となると身近な存在ではなくなってしまう。

では一体何を印刷したいのかと言えば、 出張先で利用する資料や店のクーポン券の類である。 分厚い配布資料を出席人数分印刷して運ぶのは骨が折れるし、 出張先のホテルで修正作業や翌日への準備が必要になる場合もある。 また、携帯電話の画面やメールで代用できるクーポン券も増えつつあるが、 紙に印刷して持っていかないとサービスを受けられないお店もまだまだ多いのが現状である。

こんな使い方ができれば便利

では、コンビニで普通紙印刷サービスを利用できるとしたら、 どのような機能があれば便利だろうか。 ビジネス利用の場合には、大量印刷にも対応可能な高速性がまず求められる。 また、印刷による情報漏洩を厳密に防ぐ仕組みが無ければ、 ビジネスで利用できるケースは極端に少なくなってしまう。

さらにインターネット経由で印刷予約を事前に指定できれば、 メモリカードを持ち歩く必要も、印刷が終わるまでの間、 コンビニ内で待ち続ける必要も無くなるだろう。 (もちろん印刷物が盗まれない工夫がされている前提での話になるが。)

クーポン券の印刷では、高速性やセキュリティは重要ではないが、 印刷するものを特定するまでの時間を減らす仕掛けがあると良い。 行きたいお店が決まっているのならばその必要は無いが、 受けられる特典やメニュー、雰囲気などを比較しながら、 お店を選びたいという場合が多いのではないだろうか。 単純に実現するのならば、店内の情報端末からクーポン券を利用できるWebサイトにアクセスできるようにさえすれば良い。 その地区のお店だけを表示対象とすれば、端末の占有時間も比較的短くできるだろう。 あるいは、お店の特定までは利用者の携帯電話に任せてしまい、 赤外線通信や2次元コードなどを活用して必要なクーポン券をコンビニで印刷するというやり方も考えられる。

予想されるトラブル

もちろん問題点が無いわけではない。 一つはプリンタ周りの手間である。 紙づまり、印刷した紙の氾濫、印刷用紙の補充など、 現在のコピー機を上回るトラブルが予想できる。 利用者が自由に利用できるプリンタを公共施設に設置する場合でも、 同様の問題が考えられるため、 施設側ではプリンタ導入に消極的であるという声も聞いたことがある。

もう一つはビジネスコンビニやクーポンマガジンの出版社との競合である。 ビジネスコンビニにとっては業務の一部を奪われる形になり、 出版社にとってはお店からの広告収入が減る原因になり兼ねない。 しかし、提供する印刷メニューや出店地区の住み分けで、 ビジネスコンビニとの共存は可能と思われるし、 クーポンを切り離したより詳しい情報提供誌への路線変更や、 コンビニ商品との提携でさらに付加価値を高めることで、 出版社とコンビニとの協調も望めるのではないだろうか。

ただし一方のコンビニにとっても、従来のコピー専用機を入れ替えてまで提供するほどのサービスか(採算性が取れるか)を考えなければならないだろう。 既にサービス過剰で店員の教育が行き届かず、現場では既に破綻しているという指摘もあるようだ。

ペーパーレスになるまでのつなぎ役として

もちろん将来的には、配布資料の電子化やプロジェクタによる資料共有、 あるいは携帯電話での電子クーポンといったペーパーレス化が進むことを期待したい。 特にお店の場合には、単にクーポン用紙に書かれた利用者情報を紙の状態で眠らせておくのではなく、電子化された情報を積極的に活用し、利用者サービスの充実に目を向けてもらいたいものである。 街角印刷サービスは、そうなるまでのつなぎ役にしかなれないかもしれないが、 個人的には是非利用したいサービスなのだ。