「カメラ」とひとことで言って、何を連想するだろう。ちょっと前ならばスチルカメラとビデオカメラがあって、静止画=カメラ、動画=カムだったが、それだけでもややこしかった。今はどうだろう。出荷台数ではデジカメがフィルムカメラを追い抜いたようだし、カメラの認識が変わってきているのが分かる。筆者の3才の子供はデジカメが普通であり、カメラの背面には液晶があって撮った瞬間に画像を確認できるものとして認識している。フィルムカメラを見せたら不思議そうな顔をしていた。
いろいろなカメラ
フィルムカメラ、ビデオカメラ、単体のデジタルカメラ、携帯電話に内蔵されているデジカメ、ノートPCやPDAにもデジカメが搭載されている。デジカメの中には静止画だけでなく、動画を撮れるものが多く、ビデオカメラにも静止画を撮れるものが多い。
カメラの種類が増えるだけでなく、それぞれの機能が重複しており、混沌を極めている。スチルカメラとビデオカメラが融合してきている。音楽再生、動画再生などの機能を取り入れ、新しいジャンルを開拓しようという製品も現れてきている。
いろいろと言えば、カメラが扱うフォーマットもいろいろある。デジタルに限ってもJPEG、PNG、TIFF、MotionJPEG、AVI、Quicktime、MPEG1、MPEG2、MPEG4、MP3(?)などがあり、記録メディアも千差万別。フォーマットにしても記録メディアにしてもまだまだ新しいものが控えており、なかなか収束する気配が無い。
ようやく動画像を手軽に扱う環境が整ってきて、メーカ、ユーザともに試行錯誤をしている段階なのであろう。
カメラのパラダイムシフト
これまでカメラは撮影機能を備える単品としての製品であったが、カメラ付き携帯電話に代表されるように、これからのカメラは付属品になることが増えるであろう。先日ディズニーランドに遊びに行ったとき、多くのカップルが記念写真を携帯電話で撮っていたのが印象的であった。10〜30万画素程度の画質で記念写真を撮ると言うのは少し前では考えられなかったが、「綺麗に撮れる」ことよりも「手軽に撮れる」ことが重視されてきたことの現れであろう。
動画像を扱うスタイルも変わってきている。ケータイやデジカメで撮った動画像は自分で見て楽しむよりも、人に見せることが多くなってきている。特にケータイではその傾向が強いのではないか。自分のためよりも、人に見せる為に動画像を撮るので、撮った後の保存のことはあまり気にしない。動画像が使い捨ての時代になったのである。
パソコンからの開放
最近ではパソコンを使わずともデジカメから直接印刷できるプリンタがでている。しかし、手軽にデジタルの動画像を取り扱えるようになったのはいいが、今のところ、それを保存、加工しようとするとどうしてもパソコンのお世話になる。ケータイのように使い捨ての動画像であっても、中には印刷したり、保存しておきたいものもあるだろう。パソコンなしでも動画像データを保存できるストレージも一部あるが、普及には至っていない。せっかく「お気軽」に扱えるようになった動画像も、パソコンの操作が必要となると大部分の人は尻込みしてしまうであろう。
これまでビデオデッキが家庭内の動画像のベースステーションだったように、デジタル動画像のベースステーションが必要なのであろう。多くの記憶メディア・通信方式に対応し、デジタルフォーマットを自由に変換することが必要であろう。パソコンがその担い手になるか・・・ 素質は十分であるが・・・ 「もう少し努力しましょう」と言ったところか。
本文中のリンク・関連リンク:
- マルチ機能カメラ
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D-SNAP・・・Panasonicは「SDマルチカメラ」と呼んでおり、ビデオコーナーに位置づけられている - 富士フィルム
FinePix M603・・・デジカメからムービーを取り入れたカメラ
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