そろそろ使えるインターネット電話

昨年はブロードバンド元年であった。 Flet’s ADSLやYahoo!BBなどのADSLが急速に普及し、
わずか月額3,000円でメガビット級のインターネットが気軽に手に入るようになった。 今年はブロードバンドが定着し、
どこのコンテンツビジネスが軌道にのるかのせめぎあいになりそうだ。 音楽・映像配信やネットワークゲームに続き、
キラーコンテンツとして注目されるのがインターネット電話である。

インターネット電話超簡単史

まずは、インターネット電話の歴史を簡単に振り返ってみよう。 最初はダイアルアップ接続したパソコン同士で、
同じ音声会話ソフトをインストールして音声通信していた [PC-to-PC]
同時に電話サーバに接続していなければならない。 また、2個所でダイアルアップ接続するなら直接電話する方が安いことも多く、
ごく一部のパワーユーザの趣味でしかなかった。

それから、電話ゲートウェイサービスが登場し、 パソコンから一般加入電話にもかけられるようになった
[PC-to-Phone]。 米国ではNet2Phoneが有名であり、
日本でも2000年後半頃からベンチャー系を中心としたサービスが増えてきた。 国際電話を格安で提供するものが多いが、
広告を見ることと引き替えに無料の通話サービスもある。

そして最近では、プロバイダ自身がインターネット電話サービスを始めている。 Yahoo!BB の BB Phone では国内/米国向け一律3分7.5円という格安ぶりである。 しかも、BB Phone
同士であれば無料となる。 ブロードバンド接続の目玉にしようという意図がうかがえる。

IP電話機の登場

インターネット電話サービスは使い方によっては、電話代の大幅な節約になる。 けれども、致命的な問題が2つあった。

一つはパソコンとへッドセットを使わなければならないことである。 コードレス電話機型の端末も発売されており便利にはなっているが、 大多数の一般ユーザには敷居が高かった。
ところがプロバイダがインターネット電話に本腰を入れると共に、 今年は一般のアナログ電話も接続できる、
家庭用ブロードバンドモデムやルータが登場する。 こうなると電話をかける分には普通の電話となんら変わらない。

IP電話機に電話をかける振るには

もう一つの問題は、一般加入電話からパソコンには電話できないことである。 しかし、この問題ももう少しで解決されるかもしれない。
最近、総務省がインターネット電話に「030-」や「040-」 で始まる電話番号を割り当てる計画をまとめたからである。 ごく簡単に言えば、次のように電話番号をURLに変換し、
IPアドレスと1対1に対応させようという話である [Phone-to-PC]

電話番号 +81-3-1234-5678
URL sip:suzuki@xyz.ne.jp
IPアドレス 202.224.158.26

このURL、ウェブページにアクセスする「http:〜」ではなく「sip:〜」
で始まっているところがミソである。 SIPは Windows XP にも搭載されたインターネット電話用のプロトコルで、
音声通話だけでなくテレビ電話にも対応している。 このSIPプロトコルに対応したインターネット電話機であれば、
パソコンを使わなくても普通の電話と同じ感覚で発信も着信もできるようになる。 こうなればもはや電話回線は不要だろう。
ADSLでもケーブルでも光ファイバーでも、 とにかくインターネット回線さえあれば十分だ。
もっとも、トラブルに弱いとか、110や119番がかからない等の問題はあるのだが、
みんな携帯電話を持っているし、それも心配無用だろう。

電話番号ポータル化の功罪

ところで、電話番号をURLに変換するにはENUMというプロトコルを使う。
ENUMで変換するURLは、インターネット電話でなくとも、 ウェブページでもメールアドレスでも構わない。
携帯電話の番号や音声応答サービスであってもよい。 発信元に応じて、変換するURLを切り替えることもできる。
すると今度は電話番号が一人一人の個人的なポータルサイトのような位置づけになってくるかもしれない。

そうなると携帯電話、メール、インスタントメッセージなど、 現在バラバラのアドレスが一つにまとまって便利になる。
迷惑メールやイタ電の着信拒否や、留守番電話の応答メッセージも、 きめ細かく設定しやすくなるだろう。 それは結構なことだ。

一方で、電話がENUM化されれば、 個人が所有するすべての通信機器のアドレスが世界中に知られてしまうことにもつながる。
不正アクセスやDoS攻撃、プライバシー保護も心配になってくる。 それに個人情報を電話番号で一元管理といえば、
なにやら国民総背番号制と似ていなくもない。 たかが電話番号されど電話番号。
インターネット電話はなかなか奥の深い話になってきそうだ。