IPv6を体験しよう

最近は雑誌などでも取り上げられる機会が増えてきた IPv6 だが、実際に使ったことのある人は少ないだろう。実際、IPv6対応製品やサービスがまだ少ないので、聞いたことはあるけど、体験する機会はほとんどないのが実情だろう。

今回は、筆者が事務局をつとめているIPv6普及・高度化推進協議会(以下、v6協議会)で実施中の「情報家電インターネット実証実験」を紹介するとともに、IPv6 を体験することの意義について考えてみる。

情報家電インターネット実証実験

情報家電インターネット実証実験(以下、実証実験)とは、情報家電のIPv6化に関する実証実験だ。IPv6対応機器やサービスを開発して、それを一般の人に体験してもらうことが目的である。

実証実験の成果の一部は、先日開催されたネットライフリウムというイベントで発表された。v6 協議会では参加企業各社の協力のもと、このイベントに「IPv6ショーケース」というブースを出展した。そこでは、IPv6冷蔵庫や電子レンジ、動画コンテンツ、ゲーム機を使ったコミュニケーションツールなどが出品された。特に、倉木麻衣らのライブは、IPv6 を使って中継するという世界初の試みとして注目を集めた。

IPv6をもっと身近で体験しよう

ネットライフリウムのように、IPv6 を体験できるイベントは今後も開催されると思うが、常設形式で体験できる場所もある。実証実験の一環で開設されるショールーム「ガレリア v6」である。

ガレリア v6 は、実証実験の成果を多くの人に体験してもらうために、東京2カ所、大阪2カ所、札幌1カ所の計5カ所に設置されている。そこでは、IPv6 対応コンテンツや IPv6電話などが実際に利用できる。

ちょっと立ち寄ってみるのならば、ビック ピーカンのショールームがお奨めだ。コンテンツや端末が使えるし、「IPv6って何?」という質問も近くにいる担当者に聞くことができる。ダウンロードステーションのショールームでは、簡単な講習会なども計画されているので、より詳しく知りたい人は、こちらに問い合わせるといいだろう。

自宅でもIPv6が体験できます

自宅でも IPv6 体験ができるように、実証実験ではモニター公募を実施している。モニターになるためには、IPv6 サービスを実施している ISP への加入など一定の条件があるが、モニターに採択された人には、IPv6 対応の情報家電やホームルータなどが貸し出される。Windows XP を持っている人には、ビデオクリップなどの動画コンテンツが無償で提供される。公募は年明けで締め切り、3月まで実証実験が行われる予定だ。

IPv6 は真のインターネット

「IPv6を体験する」と盛んに書いてきたが、実は IPv6 そのものを体験することにはあまり意味がない。そうではなくて、IPv6 上で実現されるサービスやアプリケーションを体験してもらうことに意義がある。

今のインターネットは、IPv4 を利用しているために様々な制約がある。アドレスが足りないためにプライベートアドレスを使わざるを得なかったり、セキュリティを確保するためにサービスを制限したりしている。IPv6 が万能とは思わないが、少なくとも IPv4 の制約を振り切って、真のインターネットが実現できることの意義は大きい。

イベントやショールーム、モニターなどで実証実験に参加される方には、アプリケーションやサービスを通じて、将来のインターネットでどんなことができるようになるかを感じ取ってもらいたい。私も自宅からモニターとして参加する予定だ。IP電話などのピア・ツー・ピア(P2P)アプリケーションに魅力を感じるが、IPv6とブロードバンドの融合がもたらす、まだ見ぬ次世代アプリケーションの登場も心待ちにしている。