そろそろ年末、季節がらパソコンで年賀状に取り組んでいる方も多いだろう。 カラープリンタは各社が写真画質を競って、 実にきれいに印刷できるようになってきた。 デジカメの写真もいいけれど、 来年の干支である午(馬)の画像でも使おうかと考えている人もいるだろう。 せっかくなのでインターネットで画像を探してみようというのは今回のテーマだ。
充実してきた画像サーチエンジン
現在もっともユーザに愛されているサーチエンジン Google にイメージ検索という新しい機能が追加されたのにお気付きだろうか。 英語版では半年ほど前(2001年6月)から始まっていたが、 日本語版では2001年11月から正式提供されている。 英語だけでなく日本語でも検索できる。 また、成人向け情報を含む画像が出力されないようにフィルタ機能が追加されている。
最も古いサーチエンジンである AltaVista にも画像検索機能がある。 AltaVista の場合には、画像に限らず動画像や音声までも含めて検索できる。 サービス開始当時、クリントン大統領の不倫疑惑事件に関する映像を検索する デモで話題になった (ニュース記事)。
インターネット全体を検索する画像サーチエンジンの他に、 自社サイト内の画像データベースを検索するサーチエンジンもある。 毎日新聞のサイトには、 戦前の写真12万枚を含む20万件の写真を検索できる毎日フォトバンクがある。 自分の住んでいる町や駅の名前を入れてみよう。 思わぬ発見があるかもしれない。
画像の内容に基づく検索は難しい
画像ファイルを検索できるようにするためには、 画像にキーワードを割り当てなければならない。 毎日新聞の例のようにあらかじめキーワードがついた画像データベースならよいが、 画像とキーワードを自動的に結びつけることは難しい。 Google では画像ファイルに付けられている説明文(ALT属性)や 本文中のキーワードを利用しているようである。 AltaVistaではVirageという画像分類技術も利用しているが、 完全に自動化されておらず、人手で内容を判断して分類しているという。 画像の内容を理解して 感性語や構図で検索しようという 試みもあるものの、 画像検索技術には未だ決定打はないというのが現状である。
実は画像の検索はキーワードがあれば十分という訳ではない。 画像や写真は「馬」や「イチロー」やといった客観的な情報だけではなく、 「形や色が似ている」「きれいな」といった主観的な情報で検索したい場合も多いからだ。 初期の画像検索研究に商標を検索する TRADEMARK というシステムがある。 これはある画像を検索キーとして、形状、色などが似た画像を探すものである。 IBM等でも同様のシステムが開発されており、商標登録の際に既に似た商標がないかを確認するためのシステムである。 類似画像検索と呼ばれる技術で、 さまざまな特徴の中からいくつかを比較して分類するという画像検索の基本技術になっている。 似ている画像を探すという意味では、顔画像の検索は実用化段階に来ている。 既にセキュリティ分野では一部実用化されており、空港やスタジアム、 オフィス などにも配備されて始めている。
さらに画像だけでなく、音声やビデオ映像も内容で検索しよう試みもある。 今後ブロードバンド時代になるとますます画像検索、映像検索のニーズは増すだろう。 映像検索はまた別の機会に紹介するつもりだが、 画像検索の今後の進展にも期待したいところである。
本文中のリンク・関連リンク:
- キーワードによる大規模な画像サーチエンジン
- Google イメージ検索
- AltaVista AV Photo & Media Finder : 画像、 映像
- LYCOS MULTIMEDIA
- 毎日フォトバンク(毎日新聞)
- diTTO
- Icon Bank
- 画像検索デモシステム
- TRADEMARK (電総研)
- QBIC(IBM Almaden研究所) TradeMark検索 切手検索 (英語)
- WebSEEk (コロンビア大学) (英語)
- PictureFinder (NEC USA) (日本語による簡単な解説)
- 画像検索システム ExSight(NTT)
- SR-Treeによる類似検索(国立情報学研究所)