
されるようになって、私の中でも紙の新聞の速報性がますます重要ではなくなってしまった。 が、まだまだ新聞から得られる情報も多く、 また気の向くままに自由な格好をしながら読める利便性が毎朝晩の配達を止められないでいる。
特に優秀な品質である日本の新聞が担ってきた役割はすでにさまざまなところで論ぜられている。 しかしながら、生産から配達までのエネルギー消費量だけを見るとやはり先行きが不安になる。 一説によれば、電子新聞にすべて置きかえると、 それを読むパソコン製造エネルギーや通信にかかるエネルギーを加えたとしても、 20分の1になるという。 さらには、日本の紙の消費量の12,3%が新聞だという。 文化を惜しみつつもますますエコロジーの視点に進んでいけば、 新聞が贅沢品になるのは時間の問題だ。 そして、電子書籍のエネルギー消費量は本の40分の1になるそうだ。

の問題が顕在化してきている。 戦後急速に整備されたかなりの公共・学校図書館の所蔵スペースが、 そろそろ飽和状態に達しつつある。倉庫業者へ委託を行っているところさえある。 もちろんこれまでも蔵書を整理したり、書架・書庫スペースを増やしてやりくりをしてきた。 だが追い討ちをかけるように、自治体や学校といった運営主体の予算削減にともなって、 新しい書架・書庫スペースを確保することは容易に許されない状況となっている。
仮に既にある建物に空スペースがあったとしても、 通常のオフィスビルの3,4倍の耐荷重がなければ、 重い本を納める書庫としては使えない。 もちろん、いまある書架の間隔を詰めることなども、 車椅子の方をはじめとする利用者の利便性を考えればできない。 本が行き場を失っている。

特に大学の図書館は、古い年代の論文誌や図書であってもなかなか廃棄しがたく、 悩みはかなり深刻だ。 いま論文誌を捨てるか保存するかの議論が始まっている。 加えて話を難しくしているのが、これから出版される本や雑誌の電子化の動向である。
海外の学術論文誌などでは、 紙媒体のジャーナルの購読者に対する特典として、 すでにWebによる記事の閲覧サービスを行っている。 例えば、Science は1年以前の特定の部分については、無料で本文が参照できる。 ある医学系大学における海外ジャーナルの利用実績上位10誌のうち、 実に7誌までは何らかの形でweb閲覧サービスを行っていた。 今後このサービスが増加してゆくならば、 現在想定している年間受入冊数が減ることになり、 将来必要な書庫スペースも減ってゆくと考えられなくもない。
ただし、オンラインジャーナルをはじめとする本や雑誌の電子化サービスが 永続的なものであるという保証は今のところない。 例えば、法律的に提供を義務づけるとか、 図書館側にミラーを許すなどの保証がなければ、 図書館が安心して本を捨てられる日は来ない。





参照
オンラインジャーナル例Science
大学のオンラインジャーナル関連サイト例(順不同)
京都大学医学図書館
東京大学経済学部図書館
東京工業大学附属図書館
慶応義塾大学図書館
Oxford University
Press刊行電子ジャーナル
(国立情報学研究所の 電子図書館サービス
からも利用可能)