余剰資源借用ビジネス − あなたのパソコン貸してください

「使っていないものを借りる」。友達の間ではよくやることだが、インターネット上でも同様なことがビジネスとして成立するかもしれない。雑誌などでよく紹介されている
SETI@home (セチ・アット・ホーム) は、世界中のパソコンの CPU を借りて ET
を探すための計算を実施している。今回は、インターネット上での「余剰資源借用ビジネス」の将来について考えてみる。

使っていない CPU を借りる

SETI@home
とは、家庭用のパソコンを使って地球外の知的生命体を探査する実験だ。誰でも無料で参加でき、スクリーンセイバーとして動作する。好奇心も手伝ってか、これまでに世界中で
300万人弱のユーザが参加している。この超大規模な並列計算環境のおかげで、従来は高価なスーパーコンピュータでしかできなかった計算が可能になった。

SETI@home と同じような試みは、その他にもいろいろと実施されている。暗号鍵解読を行うdistributed.net
や、United
Devices社
が始めたガン研究プロジェクトが有名だ。United Devices
社はこのようなボランティア方式の分散コンピューティングをビジネスにしようとしている。

ハードディスクや常時接続回線も

急激に大容量化が進んだハードディスクも最近は余りがちだ。そこで、その余ったディスクをインターネット上で共有できるようにしたのが、Napster (ナップスター)Gnutella(グヌーテラ)だ。著作権の問題がある音楽データを共有したために社会的な問題となる一方、個人間で自由に情報共有ができる
P2P (Peer to Peer, ピア・トゥー・ピア)モデルとしても脚光を集めた。

これから普及するであろう家庭向けの常時接続回線も、常に使い切っている状況は考えにくい。そこで、常時接続回線をパソコン込みで借りるサービスが今後はきっと登場するだろう。検索エンジンのインデックス情報作成の一部分を担当したり、動画などのマルチメディアコンテンツを近接するクライアントに配布するなど、いろいろと面白いアプリケーションが考えられそうだ。

成功のカギは実益か好奇心か

余剰資源借用ビジネスが成功するためのカギは何だろうか。今は目新しさからくる好奇心によって多くのユーザを獲得しやすいが、同様のサービスが乱立してきたら、エンドユーザを惹きつける何かが必要になるだろう。

まず思いつくのは、参加ユーザに報酬を出すことだ。distributed.net
の暗号鍵解読プロジェクトでは、正解鍵発見者に2,000ドルの現金が支払われる。しかし、この方法では競合する組織間で報酬の値上げ競争が始まるのは目に見えており、将来に渡ってビジネスとして成り立つか否か、疑問である。

Napster などの P2P
モデルの方がビジネスとしては将来性が高いだろう。音楽や動画データをエンドユーザ側に置いてインターネット上で公開してもらえば、Akamai社が展開しているコンテンツ高速配信サービスを、より安価に提供できるかもしれない。この場合、資源を提供するユーザには、そのコンテンツを安価(場合によっては無料)で利用できるという実益が与えられるわけだ。

しかし、エンドユーザの参加意欲をそそらせるものは、利益ではなくて好奇心かもしれない。数多くのサービスが目の前にあったとすると、「何がもらえるか」だけではなくて、「何に参加できるか」という尺度も大きな比重を占めることになる。SETI@home
を越えるような面白いテーマがあれば、自宅のパソコンをぜひ参加させてみたいものだ。