今や11Mbps無線LAN製品が花盛りだ。ベースステーションの機能は 多様化し、価格もこなれてきているため、PCのコードレスLAN環境 が安く気軽に手に入れられるようになりつつある。しかし100Mbps 以上のデータ転送速度を求めるならば、まだLANケーブルとハブの お世話になるしかない。
ハブ本体より我が物顔のケーブルたち
100Mbps対応のスイッチングハブの低価格化・小型化はとどまること を知らず、5000円前後の手のひらサイズのハブも、もはや珍しくな い。マグネット式でPCの筐体に取り付けられるハブもあり、以前の ように置き場所に困ることさえなくなった。
そこで最近、逆に気になり出したのが、LANケーブルの太さと コネクタの大きさだ。天井や床下などの普段目に付かない個所なら 問題ないが、机上の目に付きやすい個所ではかなり目障りな存在と なっている。もちろん、10年以上前に10BASE-5や10BASE-2で使われ ていたThick/Thinケーブルと比べればはるかにマシなのだが、それで もここまでハブ本体が小さくなってしまうと、ハブにケーブルがつな がっているのではなく、ケーブルにハブがつなげられているという 感じさえする。現在のLANケーブルを細く、コネクタを小さくしな い限り、これ以上のハブの小型化は難しいだろう。
ケーブルを細く、コネクタを小さくするには
事実上の業界標準である100BASE-TXの規格は、 カテゴリ5のUTPケーブル(4ペアのより対線)を使用すること、 コネクタ形状はRJ-45であること、と定められている。 実験をしたわけではないが、例えばオフィスの机上のような数メー トルのごく短い距離ならば、この基準はもう少し緩く捉えられない だろうか?
例えば100BASE-TXの場合、実際に使用しているのは4ペアのより対 線のうち2ペアのみである。したがって、2ペアのより対線のケーブ ルを使えばケーブルの太さを半分にすることができる。PCMCIAタイ プLANカードのメディアカプラで使われているケーブルを思い浮か べて欲しい。
また、11mmの幅を持つRJ-45コネクタの小型化も考えたい。配線時 によく折れてしまう抜け落ち防止用の爪も改善の余地があるだろう。 例えば、各社のデジタルカメラに搭載されている独自のUSB端子の ようなコネクタを採用すれば、かなりの小型化が期待できる。
ケーブル内蔵の機器やPC/LAN切替器 があれば便利
上に書いたケーブルとコネクタの話は飽くまで実験的な話であるが、 とにかく今やPCにLAN環境は必要不可欠な存在である。そこで思うのは、 「なぜ機器側にケーブルが付いていないのか?」という点である。 キーボードやマウスにはケーブルが直付けされているのだから、 LANケーブルも機器に内蔵させてもいいのではないだろうか? 例えば、巻き取り式のLANケーブルが収納されたハブやデスクトップ PC、あるいはオフィス机があれば、いざ接続する時にLANケーブル を探す必要もなくなる。(そのためには、上に書いたような細い薄 いケーブルでなくてはならないが。)
または、最近流行のCPU切替器 に100Base-TXのスイッチングハブ機能を持たせてしまうのも一案だ。 LANだけでなく、キーボード、マウス、ディスプレイ、さらにはUSB 機器まで、まとまった1本のケーブルでPCと切替器とを接続できる ようになれば便利になるだろう。 (ただし、もちろんハブ機能は切り替え不要である。)
LANケーブルはなくならない
レイアウト変更の際に、いつも付いて回るのがネットワークのケー ブル問題だ。それを回避する手段の一つが無線LANであるが、転送 速度や導入コストの面から、すべてのPCを無線LANにするというわ けにも行かない。有線LANは徐々に次世代の1000Mbps(1000BASE-T)へ移行 しつつある。PowerMac G4 には既に1000BASE-Tが標準搭載されていることからも、しばらくは UTPケーブルとRJ-45コネクタのお世話になる必要がありそうだ。