新聞にも掲載されたのでご存じの方も多いと思うが、もうじきインターネットのドメイン名に日本語が使えるようになる。実はすこし前から同種のサービスは始まっていたが、今回のは JP ドメイン(最後が .jp で終わるもの)の日本語化(多言語化)なので、影響の及ぶ範囲はとても大きい。
多言語ドメイン名とは
通常のドメイン名には英数字しか使えない。これに対して多言語ドメイン名では、日本語を含めたさまざまな言語で用いられる文字が使えるようになる。例えば三菱総研は mri.co.jp だが、多言語化ドメイン名を使うと、例えば「三菱総研.jp」というのも使えるようになる。
多言語ドメイン名の功罪
多言語ドメイン名に対するニーズは単純明快だ。英数字だけで表されたドメイン名では、若年・老年者といった英語に不慣れなユーザが使いにくいので、日常語を使ってアクセスできるようにするためだ。確かに日本人ならば日本語で書かれていた方がわかりやすいという側面はあると思う。
しかし、いざ多言語ドメイン名を許すとなると、さまざまな問題が発生する。ドメイン名を管理する DNS サーバや、WWW ブラウザやメールクライアントなども、多言語ドメイン名対応にしないといけない。
多言語ドメイン名は普及するのか?
通常のインターネットユーザがドメイン名を意識する場面は、たぶん URL をブラウザ上で入力する時くらいだろう。しかし、初心者の多くは自分のポータルサイト上で、ブラウザ上のアイコンをクリックしているだけではないだろうか。また、日常生活での利用を考えると、よく訪れるサイトは限られていて、すべてブックマークに保存されているだろう。
そう考えると、多言語ドメイン名の利用者は果たして誰なのだろう?英語に不慣れなユーザを対象にするのならば、日本語の情報だけが整理されたポータルサイトがあれば十分だと思う。
また、携帯電話やネット家電の普及とともに、キーボードレス端末が増加している。携帯電話やリモコンを使ってインターネットアクセスをすることを考えると、日本語ドメイン名を入力する方がかえって煩わしいだろう。
デジタルディバイドというキーワードの追い風はあるものの、日本語ドメイン名の普及は難しいのではないだろうか。
本文中のリンク・関連リンク:
- JPドメインを管理しているJPNIC (社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)
日本語ドメイン名に関しては「汎用 JP ドメイン名に関する方針 (案)」に対するご意見の募集
に記載されている。『汎用JPドメイン名』として、次の特徴を持つドメイン名管理を提案している。- SLD(Second Level Domain)への登録 → mri.jp が可能になる。
- 日本語ドメイン名 → 三菱総研.jp を持てるようになる。
- 個人登録・1組織での複数登録 → mri.co.jp, mri.jp, 三菱総研.jp を同時に使用可能。
- SLD(Second Level Domain)への登録 → mri.jp が可能になる。
- すでに実施されている多言語ドメイン名(あるいはそれに類似した)サービス
- iDNS(Internet Domain Name Sysytem): シンガポールのi-DNS.net
社が提供しているサービスおよび製品。
NUドメイン(ニウエ)のマルチリンガル・ウェブ・アドレス・サービスもiDNSを利用したものらしい。 - 日本語ドメインインデックス: インターネットワンジャパン社が提供するサービス。
IOドメイン(英領インド洋地域)を使って運用している。
- iDNS(Internet Domain Name Sysytem): シンガポールのi-DNS.net
社が提供しているサービスおよび製品。
- 多言語ドメイン名とは関係ないが、URL入力を簡素化するサービス(インターネットナンバー)もある。
携帯電話やネット家電ではこちらの方が便利かもしれない。