「勝ち組、負け組」という言葉をよく聞くが、勝ち負けだけでは語れないものがあるはずだが?
勝ち組、負け組
経済紙などではよく、企業の「勝ち組、負け組」の二極化が進んでいると報じられる。 この「勝ち組、負け組」とは、同一業種の勝者と敗者を指す。 情報エレクトロニクス業界ではソニー、自動車ではトヨタなど、その業界の上位に位置し、 業績好調な企業が勝ち組だ。
「勝ち組、負け組」という言葉は、2年くらい前、将来の業績を見越し、 勝ち組と負け組の企業の株価が大きく分かれたところからはやりだした。 ところが、この株価というのは、企業の業績だけでなく、人気度が反映され、 大量資産を持つ投資会社などの影響も強く受けるので、企業の評価尺度としてはあまりあてにならない。 4月にNASDAQに上場しているネット関連ドットコム企業の多くの株価が急落したが、 そのはるか以前から業績に対し期待値である株価が高すぎると警告されていたことでもわかる。
変わらなければ!
さて、IT関連企業における勝ち組、負け組はどこだろう? よく言われる主な「現在の勝ち組」は、 放送(スカイパーフェクTV)・コンテンツ(ソニーミュージック) から家電・ゲーム機まで全てを扱うソニー、 ネット社会のテレビ局と言われるポータルサイトNo.1のヤフー、 日本の電子モール売上高No.1の楽天、 実体のある警備事業を核にIT分野にも進出しているセコムなどか。 勝ち負けはもちろん結果論だが、これらをみていると、 時代の変化に柔軟に対応することが勝つことの大きな要因となっていることがわかる。 トヨタは、自動車だけでは市場が飽和するので、 携帯電話やカーナビサービスなどIT分野も取り込んだ総合企業を目指している。 進化論ではないが、常に環境に適応していくことが成長の秘訣なのだろう。
消費者志向?勝ち負けだけでは語れない
セコムは、ネットセキュリティ分野に進出しているが、 コンピュータへの不正侵入検知を有人で行っており、 緊急時はEメールだけでなく電話でも連絡するという。 クリック&モルタルという言葉がある。 ネット上のサイバーワールドとモルタル壁の現実の店舗の2つで補完し合うビジネスモデルのことだ。 先のセコムの例は、このパターンで消費者の安心感を買おうとするものだ。 これは一つの消費者志向の手段で、 これからのネット社会で勝ち残るための1つのキーワードとなろう。
市場のトレンドは、製品、インフラから、サービス、 コンテンツへと向かっているという。 ネットサービス会社AOLと映画会社のタイムワーナーが合併 したのもコンテンツ配信を狙ってのことだ。 なるほど、インターネットやデジタル放送が普及すれば、通信業者が儲かり、 最終的には、放送局やサービス事業者が儲かるだろうことは、 今のテレビ局や広告代理店の状況をみてもわかる。 しかし、利益だけで勝ち負けを語るのはなんとも味気ない。 良質のコンテンツ製作者などは利益に関らず評価されるべきものだろう。 視聴率競争のような愚行がネット社会でも再現されることは避けられないだろうか? それには我々消費者の選択眼が何よりも大切なのだろう。