プレステ2に次ぐ最後の実力者?デジタルテレビ

BSデジタル放送が始まる

ちかごろ 「デジタル放送」という言葉をよく耳にする。 NTV、フジ、TBS、テレ朝などの民放キー局も参加する BSデジタル放送が今年の12月に始まるからだ。 2003年には地上波のデジタル放送も始まり、 2010年には60年続いたアナログ放送が終わってしまうらしい。 それまでには皆デジタルテレビに買い換えることになる。 デジタル放送は今までの放送と何が違うのだろう?

デジタル放送で何が変わる?

デジタル放送の特色は、高画質化、多チャンネル化、双方向化にあるという。 デジタルハイビジョンテレビは画素数が今の約5倍になる。 細部までくっきり美しく、アップは困るという女優もいるとか、いないとか。 これなら映像だけでなく文字も十分に読める。 チャンネルが増えると、例えば、 プロ野球を見ながら一塁側と三塁側の画面を切り替えられる。

双方向というのは、テレビにつないだモデムを使い、 番組と連動したデータを受け取ったり送ったりすることだ。 番組アンケートにその場で答えたり、 テレビショッピングで欲しい商品の詳しいカタログを取りだし、 さっと注文できるようになる。 もちろん、料理番組で放送中の料理のレシピをみたり、 スポーツ番組で選手のプロフィールをみることもできるだろう。

もっともよく考えれば、これらはちょっと高機能なテレビという程度のことである。 本当に嬉しいのは、やっとテレビでまともにネットサーフィンできることだ。 しばらく前にインターネットテレビが売り出されたが、 今のテレビ(解像度 720×480)では画質が荒くてとても見るに耐えなかった。 デジタルハイビジョン(解像度 1920×1080)なら 「テレビでインターネット」もちょっと期待できそうだ。 会社で端末に向かう私など、 家に帰ってまでキーボードの前に座りたくはないのだが、 ソファーに座り、 テレビをみながらリモコンでネットサーフィンできることは、 結構期待しているのである。

現行アナログ放送とデジタル放送対応テレビの画質比較
比較項目 現行テレビ BSデジタル
有効走査線の数 480 480, 720, 1080
走査方式 飛越し走査 飛越し走査/順次走査
画面の縦横比 3:4 9:16
視野角 10度 30度

(順次走査[プログレッシブ]は飛び越し走査[インターレース]の2倍の密度)

テレビがインターネット端末に!

ソニーは言った、 「プレステ2はあらゆるデジタル・コンテンツを家庭に届ける『トロイの木馬』」と。 だが、しょせんアナログテレビでネットサーフィンは辛いし、ゲーム機では普及に限界がある。 デジタルハイビジョンテレビこそ、パソコンに代わるインターネット端末ではないか。 もっと巨大な「トロイの木馬」になり得るのではないか?

パソコンの普及率は三世帯に一台だが、テレビはほぼ 100% だ。 デジタルテレビがインターネット普及率を 100% に押し上げるとすれば、 見かけの派手な高画質化や多チャンネル化よりも、 社会的インパクトははるかに大きい。

そもそも電話が便利なのは誰でも電話を持っているからだ。 誰もがインターネットにつながれば、 孫の写真やビデオを田舎の祖父母に電子メールで送ることも、 恋人同士のビデオメールのやりとりも、 ホームバンキングやチケット予約も、はじめて日常生活のひとこまになる。

3割でなく10割を相手にするとなれば、 サービス提供業者もおのずと消費者サイドに立ったサービスをしなければ生き残れない。 住民票の発行や自動検針などの公共サービスも始まるだろう。 メーカや業者の目論見はともかく、 インターネットの裾野を広げるという意味で、 デジタルテレビのインターネット端末化を期待する。