パソコン要不要論

あなたは、コンピュータを何に使っていますか ? パソコンでこの文章を読んでいるあなた、 少なくともウェブページを見るのに使っていますね、というのはまあ冗談として。

ある人にとってはメール端末やネットサーフィン専用の道具かもしれない。 また例えばオフィスではワープロや表計算ソフトが活躍しているに違いない。 データベースソフトが動いていたり、 数値計算やシミュレーションをしていることもあろう。 ゲームソフトをインストールして夜な夜な楽しんでいる方も多いだろう。 また最近ではマルチメディアコンピュータに仕立てて、 ビデオ編集や CG を楽しんでいる人も増えたはずだ。

さて、昼間はオフィスソフトで仕事をし、合間にメールのやりとりと WWW のチェック、夜になったら趣味のビデオ編集を行ない、息抜きにゲーム、 日曜日には 3D の CG 作成に余念がない… といったおよそパソコンでできそうなあらゆることを、 一台のパソコンで全てこなしているよ、という人ははたしてどれほどいるだろうか ?

汎用性とパーソナル性の不整合

コンピュータは膨大な可能性を秘めた機械である。 が、「何でもできる」は「何もできない」のと結果としてそう違わない場合もある。 器用貧乏、というやつだ。昨今のパソコン事情を見ていると、 どうもこのあまり好ましくない状況に陥りあがいているフシがうかがえる。

まずパソコンの現実として、いわゆる「相性」の問題がある。 本来、いろいろとソフトウェアを切替えることによって、 いろんなことができるようになるのがコンピュータの、ウリ、なのだが、 「あのソフトを入れたらこのアプリケーションが動かなくなった」 などということが、ままある。 他にも、同時に立ち上げると良くないとか、 このソフトを使った後は都合が悪いとか、半分迷信めいているものまである。

次に、使いにくさの問題。 いわく、電源を入れてから使えるようになるまでに時間がかかる、 ファンの音がうるさい、熱くなる、マウスやタッチパッドが使いにくい、などなど。

専用機への回帰

このような背景もあり、 ポケットボードのような専用端末がずいぶん台頭した。 どうせ私はメールを読むくらいしか使わないし、という人向けで、 専用にして使いやすくしたら爆発的にヒットしたのはご存知のとおり。 似たような考え方の結果が、 昨今のメーカ製パソコンのキーボードに必ずといっていいほど付いている、 アプリケーション専用ボタンなのだろう。 「メールを読むときはこのボタンを押すだけ」、というアレだ。

ところがここではいちいち挙げないが結局あまり成功しなかった専用機器も当然ある。 その差はどこにあるのだろうか。

専用にするからには、 専用にした部分の機能はパソコンより良くなければならない。 ポケットボードならば、携帯性と使いやすさでパソコンを凌駕した。 そのあたりが受けた理由だろう。

先日、インテルのインターネット端末「Web Appliance」の構想が 明らかになった。 この端末、OS には Linux を採用したという。 機能的には不足はなさそうだから、あとは使いやすさが明暗を分けよう。 ユーザインタフェースとしてはパソコンと同程度かそれ以上、 例えばXGA以上の画素数(1024×768)を持つ画面にしっかりしたキーボードとマウスを備え、 スイッチを入れたら3秒で使えるようになる、などの操作性がほしい。

オフィスには専用機を ?

ところで、オフィスソフト専用機は何故発売されないのだろう ? 昔は皆が使っていたワープロ専用機、 それを拡張したようなものを想像してみてほしい。 ROMに記録された Windows が3秒で立ち上がり、 すぐにワードやエクセル(あるいはそれ相当の他社ソフト)が使えるようになる。 専用マシンなので新たにソフトをインストールすることはできない。 でもウイルスの心配をする必要はなくなる。 ソフトウェアのアップデートは ROM を取り換えればいい。

中途半端なパソコンはもう要らない。 専用機化したオフィスPCで管理も手間いらず。 数年後の事務業務を想像するとそんなところに落ち着きそうだが、 どうだろうか。

  • 限定発売、キティちゃんの ポケットボード(NTTドコモ)
  • インターネット端末のいろいろ
    • 米インテルのインターネット端末、「Web Appliance」に関する ニュースリリース(英語)。
    • “ポケボー”姉妹品、モバイルインターネット端末: ブラウザボード
    • 家庭用インターネット専用端末の先がけはこれだった (マイクロソフトが買収したことでも有名): WebTV
    • 家庭用電話に組み込まれたインターネット端末:シャープの 液晶マルチメディアホン