超小型LinuxBoxを探せ

手に乗るパソコンを探している。といってもいわゆるモバイルパソコンではない。 ペン入力パッドは要らないし、キーボードやディスプレイ装置さえ外付けで構わないから、 ちゃんと仕事のできるPCが欲しいのである。 そう、最近流行の兆しを見せている Linux 搭載の小型サーバ機器なんて、 けっこうイイ線を突いている。

こんな超小型PCが欲しい

筐体は小さければ小さいほどいい。置き場所のこと何も考えなくてよいくらいのものが欲しい。 キーボードもディスプレイも外付けで構わないので、 小型化の制約になるのはせいぜい各種のコネクタ程度。 電源内蔵型でACコンセントに繋ぐだけが望ましい。 ただし電源はけっこう嵩張るので、百歩譲ってACアダプタは別体でもいいことにしよう。 そうであれば、いざとなればノートPCのようにバッテリで駆動できるようにすることもできる。

ただし私が欲しいのは、端末装置、ではない。 ネットワークコンピュータ でもなければ Window Based Terminal でもX端末 でも不十分。それ自体で何らかの処理を実行できるPCが欲しい。 とするとある程度の2次記憶装置は必要で、 大容量のコンパクトフラッシュディスクやその他の小型デバイスが必要だ。 今のところ IBM のマイクロディスクが有望だろうか。

さて、では OS は何にするか。 日頃から Unix で仕事をしてきたので、今から Windows を使いなさいといわれてもやや困る。 モバイルするわけではないのでペン入力やらに対応している必要もない。 ということでやはり PC-Unix のいずれかが妥当だ。 キーボードとディスプレイが無くとも、ネットワークで繋げておきさえすれば、 万が一のときでも何とかなる頼もしさもある。

いま手に入る小型LinuxBox

… といった前提で調べていたら、さる筋から「個人で小型のPCをまとめている方がいらっしゃる」との情報をいただいた。 なるほどこれをみると、様々な形態の小型PCを発売・発表しているベンダがあって楽しい。

コバルトキューブ(通称: コバQ)は小型 Linux サーバ流行に先鞭をつけた製品として有名だ。 スタンフォード大学で開発された マッチ箱PCは、 なぜかそのマッチョなボディビルダー柄のマッチ箱と並んで写っている写真で話題になった。 その他、5インチベイに収まるカード型のPCや、PC104という小型PCの規格など、 「あなたの知らない世界」がリストに拡がっている。

そして上記のリストに挙げられているもの以外にも、例えばワイルドラボの CATV / xDSL用超小型IPルータ「LAMB」はOSとして Linux を採用しているというし、 そもそもワイルドラボも自社の WWW サーバで、 「LAMB」を超小型サーバとして使うためのアドバイスも提供しているくらいなので、 超小型 Linux サーバの需要は少なからずあるのだろう。 他にもエプソンの カードPCなど、小型化の需要は確実に存在する。

超小型PCで何をしたいか

さて、では超小型LinuxBoxの使い道を考えよう。

まず仕事の環境を持ち運べるようになればずいぶん便利だろうということが想像できる。 ドッキングベースのようなものを家と職場の両方に用意しておき、 瞬間で仕事環境を再現できるようにする。 当然、ディスプレイやキーボードは使い慣れたものを使うのだ。 移動中に仕事 ? … 他にもすることは山ほどあるから、そこまでモバイルする必要は無い。

家で仕事をするとしても、そそり立つようなタワー型のPCは置きたくない。 デザイン重視の iMac ですら、少なくとも私の家の居住空間に置くには大きすぎる。 薄型の液晶ディスプレイハッピーハッキングキーボードが、私の理想だ。

実はあともうひとつやりたいことがある。各種の機器の制御をしたいのだ。 そもそも小型のPCに着目しはじめたきっかけがこれである。 現在ある組込み用の制御機器は専用のチップを使っていて高価なものが多く、 なかなか自由に開発して遊ぶことができなかった。 あるいは汎用のものだとMS-DOS程度のOSがベースとなっていて、 機能が足りなかったり開発環境に満足なものが無かったりといった不満があった。

LinuxBoxの可能性

Linux ベースの超小型PCであれば、安価で高機能の制御機器開発環境を手に入れることができる。 リアルタイム処理が必要ならば、リアルタイム制御用の RT-LinuxART-LinuxKURTといった選択肢も用意されている。

ところで先日、さる信号処理関係のセミナで、 デバイスベンダに「Linux 対応はしないのか ?」という質問を投げてみた。 返ってきた答えは残念ながら、「ディストリビューションが多いので、対応に躊躇している」 とのことだった。Linux がブームになって久しいとはいえ、 依然として混乱の時期だということだろう。 混乱の時代の先に、Linux の可能性がまたひとつ開かれることを願う次第だ。