今やオフィスでは、各自の机にひとり一台、自分用の PC が置かれることもあたりまえになりつつある。 場合によっては複数台の PC をひとりで使い分けている人もおられよう。
コンピュータの使い方も、 メインフレームを端末から利用する形態からクライアント/サーバ方式へ変化する一方、 ネットワークコンピュータや Windows-Based Terminalなど端末方式への回顧も見られるなど、 インターネット/イントラネットの発展とともに様々な方式で検討されている。 そんななかで、利用者がじかに触れるクライアントPC(ここでは、 ネットワークコンピュータなどの端末も含むこととする)の使いやすさは、 やはり直接向かい合うモノだけに気になるところだ。
Windows, Mac, Linux… ?
さて、あなたがこの文章を読んでいるそのコンピュータ、OS は何だろう。 Windows ? Mac ? それとも最近流行りの Linux だろうか。FreeBSD や BeOS といった OS をお使いの方もいるかもしれない。自分の使っているコンピュータ、 使い勝手に満足してますか ?
ひとくちにコンピュータの使い勝手といっても様々な切口がある。 GUI や入力デバイスなどユーザインタフェースも重要な論点となろうが、 別の回でも触れられているので今回は違った側面から考えてみたい。
セキュリティと使いやすさ
例えば PC 用の OS の代表として Windows を例に挙げると、 そもそもは個人使用を考えた、シングルユーザ・シングルタスクでの MS-DOS から マルチユーザ・マルチタスクの OS に向かって発展してきている。 一方、Linux や FreeBSD などは、もともとマルチユーザ・マルチタスクで使っていた UNIX を安価なプラットフォームで利用できるようにしたものだ。したがって、 Windows や Mac が信頼性に欠ける、とか、PC-UNIX はセキュリティが比較的しっかりしている、 といった批判(あるいは現実)は、ある意味で歴史的経緯に基づくものといってよい。
しかし、セキュリティを高めることは、一方で使いやすさを犠牲にすることでもある(※)。 いちいちパスワードを要求されたり、 あるいはファイルのパーミッションがどうのこうの、ドメインがどうだこうだ、 といった話はセキュア(安全でセキュリティの高い状態)でこそあれ、うっとうしい話でもある。
(※ 注: もちろんウィルス対策やネットワーク攻撃に対するセキュリティなどの話もあるので、 必ずしも完全にトレードオフの関係にあるとは限らない。)
本当にパーソナルなPCとは
ところで、セキュリティもさることながら、 はたして冒頭で述べたような環境のクライアント用 PC がマルチユーザ OS である必要があるだろうか ?
物理的なコンソールは使用者専用なのだとすれば、複数ユーザを設定する必要はない。 あるいはその端末の利用者と管理者のふたつくらいのユーザを用意すれば十分で、 管理者用、遠隔ログイン用(もし遠隔利用を可能にするならば)、 あるいは不在時の端末ロック用のパスワード以外には、煩わしいパスワード管理も要らない。 朝出社したら電源を入れるだけですぐ使えるようになる。帰るときにはスイッチを切るだけ。 そんな簡易な PC こそ、パーソナルなコンピュータだ。
さらに、コンソールに鍵を付けてしまえば利用者はパスワードを覚えておく必要すらなくなる。 その実現方法は、ICカードでも、 指紋認識でも、 顔画像認識でもいい。 そういえば、昔のコンピュータって金属製の鍵が付いていたものもありましたよね。
本文中のリンク・関連リンク:
- 管理はサーバに委せ、ユーザインタフェースに特化した先進的な端末機器のいろいろ。 ネットワークコンピュータも、登場がやや早すぎた
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- ネットワークコンピュータの代表的存在:サン・マイクロシステムズの JavaStation
- マイクロソフトにも Windows CE をベースとしたネットワークコンピュータ Windows Terminalがある
- 昔からX端末などの先進的なターミナル機器を手がけてきた 高岳製作所システム事業部 のページ
- 本人を認証するシステムは数多くあるが、そのうちとくにクライアントPC向けのものをふたつ
- ノートパソコンで指紋認識をする安価なシステムも発売されている。 富士通: Fingerpass Card
- 東芝の Libretto ff 1100 では、付属のカメラで顔を認識して、 スクリーンセーバーのロックを解除することができる