長寿県・沖縄でも
高齢者の人口比率は年々増加していて、寝たきりや介護の必要な老人が増えている。 「どうしたら長生きできるのか」よりも、 「どうやって生きていくのか」という知識が必要になってきた。 そういう情報を調べることができる、ずばり 「長寿名人」という名前のソフトを、 沖縄・那覇市内のコンピューター関連のベンチャー企業、 株式会社エルエスアイ研究所が昨年作って売り出した。足かけ三年半かけた力作である。
「長寿名人」は、在宅介護に関する、さまざまな情報を網羅した介護支援ソフトで、 急に介護をすることになった家族の、何よりも不安を和らげてくれる。 入浴、食事、トイレ・おむつの使用方法といった「介護の方法」や、「リハビリテーション」、 歩行器具など福祉用具の選定に役立つ「福祉用具情報」、「住宅のリフォーム」、 福祉ヘルパーなどの相談をするための「相談窓口と福祉サービス」などについて、 音声やアニメーション、実写動画などで分かりやすく説明してくれる。 さらには、地域や業種に合わせたオリジナルな内容を提供するオプションもあり、 地域にある病院や福祉施設の空き具合の案内や、 顔を見ながら医師に相談できるテレビ電話通信機能なども用意されている。
実はこのソフト、離島などへき地で保健婦による利用を想定して開発されたそうだ。 が当地沖縄県よりも早く、東京・世田谷区立 文化生活情報センター の情報通信コーナーに置かれた タッチパネル付パソコンに本格導入され、 全国での利用が期待され始めている。
なにしろ、介護保険制度の説明
ができる自治体の職員が足りない。来年2000年4月のスタートを目前にして。 このため、介護についての情報提供ばかりでなく、 介護保険制度の説明補助ツールとして、 こういった介護情報提供について非常に関心が高い。
一般的に産業規模は1兆円を超えると有望視され始めるが、 シルバー産業は医療・福祉サービスから衛生・生活補助用具まで加えると、 すでに50兆円を超えたと言われる。 さらに介護保険制度が始まると、「医療・福祉」のサービスメニューが広がり、 また、いままで以上に「介護」について人々が敏感に反応することもあり、 この不況下でも市場が急成長すると予測されている。 在宅介護サービスや介護用品販売のほか、 警備会社や金融機関、宅配業者などでも新たな参入の機会を狙っている。
沖縄県でも新たな雇用機会を生み出す産業振興を進める中、 長寿のイメージを利用した医療・福祉関連ビジネス、健康産業を有望と見ている。
キオスク正しく美しく
今後ますます生活のための情報化が進み、地域情報化、市民情報化、 あるいは学習情報化が進展していくと、 キオスク端末での情報利用が飛躍的に進むと思われる。 前述の「介護保険制度のわかりやすい説明」のように、 公共サービスとして求められている平等でバリアフリーな情報提供が、 全家庭への普及がまだ先であるインターネット環境を対象としたサービスと別に (あるいは一緒にして)、 メンテナンスが行き届いたキオスク端末によって、きっちりなされるべきだからだ。 キオスク端末だって、随分”コンピュータ”から脱皮して 「美しい(楽しい?)顔」になってきている。
もちろん、一方においては、4,000万人とも言われるユーザがすでにいる 携帯電話をベースとしたPDA(携帯情報端末)が、情報アクセス形態として 普及していくのだろうが。 ある通信業者の調べで、一人暮らしのお年寄り宅へのテレビ電話の導入によって、 往診依頼が80%も減少したとの報告がされている。 すぐに誰かと顔を合わせて話ができるということで、さまざまな不安が取り除かれたためだろう。 お年寄りの個人用には、簡単でしかもより直接的な カメラ付携帯電話などがいいのかもしれない。
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