隣のヒソヒソ話はとても気になる。 私の噂をしているのだろうか、それともあいつの噂かな。 気になり始めたらきりがない。 バイオニック・ジェミーみたいに、 遠くの声が誰にも知られずに聞こえたらいいのにと思うのは人の性か。
画面はそのまま、音だけゆっくり
隣の噂話はともかく、年をとったらテレビの早口も聞き取りづらくて困りそうだ。 でも、その頃になれば、 「ポータブル話速変換器」が強い味方になってくれるに違いない。 声の高さや質を変えずに、テレビやラジオをゆっくり聞くことができる。 音だけゆっくりしたら、画面からどんどん遅れてしまいそうだが、 息つぎや無音の間に追いつくというのだからすごい。 サンヨーが専用LSIを開発したのでテレビやビデオに標準でつくのも近そうだ。 話速変換補聴器も耳穴サイズなれば、友人の早口もこれで大丈夫だ。
小さい文字には、話す電子ペン
では、小さい文字がかすんできたらどうしよう。 話す電子ペン「クイックショナリー」はなかなか使えそうだ。 このペンは文字をなぞると読み上げてくれる。 ペン型なのでポケットにさして持ち歩けるし、翻訳機能もついているので海外でも安心だ。 そもそも大切な情報を小さい文字でゴチャゴチャ書いてあるのが悪いという話もある。 バーコードで紙に声を録音する 「スキャントーク」を使って欲しいものだ。 実際、全日空の機内においてある「安全のしおり」はスキャントークでも読めるらしい。
ウエアラブルからサイボーグ
老後も心配だけど、本当は今の自分の耳や目をもっとパワーアップしたい。 駅に行けば時刻表が見えてくるし、 レストランの前ではグルメ評論家のコメントが聞こえてくる。 そんなメガネが欲しいのだ。 最近、流行りのウエアラブル・コンピュータにGPSと携帯電話を組み込めばそこそこいけそうだ。 でも、本命は駅にも道路にも建物にもそこらじゅうにコンピュータを埋め込んでしまう ユビキタス(=どこでも)コンピュータと組み合わせる方向ではないか。 おそらく10年、早ければ5年でかなり使えるものが出てくるという。
こうなればほとんどロボコップの世界。 あのフォルムがキュートかどうかはともかく、 サイボーグ願望そのものはそんなに違和感を感じない。 私が爺さんになる頃には、老人が老人を介護する時代も過ぎて、 老人は自分自身で世話しなければならないという。 そんな超高齢化時代になったら、 ライブホンのような機械を移植するのが当たり前になるのだろうか。 そういえばバイオニック・ジェミーも耳を怪我して電子耳を埋め込んだのだった。 やっぱりまだ少し怖い。
本文中のリンク・関連リンク:
- サンヨーは話速変換技術に力を入れているようだ。 「早聞き」「遅聞き」再生ができる留守番電話 「テ・ブ・ラコードるす」など、 話速変換専用LSIを使っていろいろな製品に組み込んでいる。
- 日立の 話速変換補聴器は40秒ほどのバッファを持っており、 相手の喋った言葉をリアルタイムでゆっくり再生してくれる。
- 話す電子ペン 「クイックショナリー」(WizCom社)は、 もともとペン型翻訳機(販売はセイコー)として開発された。 日本での発売も近いかも。
- NTTは骨伝導方式ヘッドホン「ライブホン」を使って聴力障害者が音楽を楽しむコンサートを全国各地で開いている。