年賀状で情報リテラシ

年末の12月ともなると、 パソコンショップの店内では小型カラープリンタが叩き売りのように並べられる。
ボーナス商戦ということもあるが、 その多くは年賀状印刷のために買われるわけである。

日本のコンピュータリテラシの原点は年賀状!

最近でこそインターネットが流行っているが、それより前は年賀状作成くらいしか、 家庭ではパソコンを使っていなかった。
1年分の埃を払い、インクを補充し、丸1日を時間を費やして年賀状を作る。 これが日本の家庭でのコンピュータ利用の原点である。

しかし、たかが年賀状とあなどってはいけない。 実に多くの技術を身につけないと立派な年賀状はできあがらない。
パソコンを立ち上げてワープロや年賀状作成ソフトを使うだけではない。 住所録をつくったり、デジカメの写真を補正したりもする。
そして、そうした操作を通じて、データベースやフォトレタッチソフトなどを使いこなす技術を身につけることになる。
しかも、最近のデジカメやプリンタは、プロ用のものと比べても遜色ないくらい高性能なものが低価格で手に入る。
その結果、手間ひまかけて作り上げた作品(年賀状)は、印刷に頼んだのと比べても遜色ない出来映えになる。

コンピュータを使いこなす能力を「コンピュータリテラシ」と呼ぶ。
コンピュータ先進国のアメリカでは家庭のコンピュータリテラシがかなり高い。
一方、日本では企業のレベルが徐々に向上しつつある段階で、家庭のレベルはまだ低い。
コンピュータリテラシ向上のポイントは、日常的な、しいていえば家庭でのコンピュータ利用である。
テレビのリモコンやゲームのコントローラも、とても複雑なビデオの週間予約だって、 毎日使っているからこそ使いこなせるようになる。
パソコンも毎日使っていれば、そのうち教えられなくても自然に使えるようになるはずだ。

家庭から情報リテラシ教育の基礎をつくろう

ところが、コンピュータリテラシには「一過性の能力」という側面がある。
今あるコンピュータやデジカメ、プリンタなどの使い方に習熟したとしても、 3年と待たないうちに陳腐化してしまう可能性がある。
ハードウェアもソフトウェアも、高性能化とともに高機能化が進んで、新機能を生かすために、
ユーザインタフェースをがらりと変えてしまうだろう。
こうなると、コンピュータの「使い方」だけを身につけたのでは、新しいものが出てくるたびに、
また基本的なところから覚えなくてはならなくなる。 相変わらずコンピュータリテラシが必要だということには変りはないが、
それとともに、コンピュータを利用して情報を扱う基礎能力(情報リテラシ)が求められる。

教育の現場でも情報リテラシに関する新しい教育課程が取り入れられようとしている。
特に、中学校では 2002 年から技術・家庭で「情報とコンピュータ」を取り入れることが指導要領に盛り込まれた。
しかし、そこで何を教えるかはとても難しい。 限られた時間の中でいったいどれだけのことを教えられるだろう。
当然、最初はワープロや電子メール、WWW などの使い方を教えることになると思う。
だが、そこから一歩進んだ情報リテラシ教育をぜひとも実現して欲しい。
たとえば、モラルという観点に立った情報の扱い方についての知識やセンスを身につけることは、
これからのネットワーク社会に生きる子供たちにとって必須である。 ぜひとも、情報の集め方や集めた情報から判断する力とともに、
それらの情報をもとに自分なりの表現をして発信する力を身につけてもらいたい。

門前の小僧ではないが、家庭生活の中にコンピュータがとけこんでいれば、 子供は自然に使えるようになるものだ。
年賀状でもインターネットでも構わない。 家族が日頃からコンピュータで楽しむことが、何よりのコンピュータリテラシ教育となる。
そして、学校で情報モラルや表現力を鍛えて、情報リテラシを磨こう。