クラウドデバイス
iPadの爆発的な人気に伴い、薄型で大画面のタブレットデバイスが急速に注目を集めている。これらのデバイスは使いやすいタッチインターフェースを用いたものが多く、初心者にも使いやすい操作性(ユーザーエクスピリエンス)を提供している。iPadを始め、大多数のデバイスはローカルにコンテンツをダウンロードして使うことを前提としているが、そのほとんどはネットワークから提供されるものである。
タブレットデバイスの急成長とともに少し前に話題になったシンクライアント、仮想デスクトップも最近になり復活しつつある。サーバはクラウドに置き、クライアントはタブレットデバイスを使う、という形態も多く提案・発表されている。また、スマートフォンも人気急上昇中であり、これらの端末をシンクライアントとして使おうという動きもある。
これらのクラウドサービスのクライアントを総称して最近ではクラウドデバイスなどと呼ばれているが、実に様々なものが市場を賑わせている。今は様々な試行錯誤が行われ、サーバ側もクライアント側もこれからさらに進化していく過程なのであろう。
画面サイズと重量
雨後の筍のように現れているクラウドデバイスだが、既存のスマートフォンやネットブックなどの携帯型端末との位置づけを、画面サイズと重量でまとめてみたのが下図である。
今一番注目されているiPadだけ別ジャンルにしてあるが、タブレットに分類される。タブレット型のx86系OS(Windows, Linux)を搭載したデバイスをスレートPCとしてまとめてある。なお、サンプルに用いたデバイスは最近発売・発表されたばかりの比較的新しいものおよび著名なデバイスを抽出している。
この図では、左上に位置するほど軽くて画面の大きなデバイスである。そして、タブレットは明らかにスレートPCやネットブックと比較してより軽くて画面の大きなデバイスであることが分かる。そして、5~12インチと思いのほか画面の大きさにバリエーションが多いことも分かる。しかし、分布を見ると8インチクラスを境に、9.7インチのiPadの集団と6インチのkindleに分かれる。
価格と機能を考慮すると、x86系OSを積んだ「何でも出来る」端末よりも、「ほどほどの機能を手軽に使える」端末にシフトしていることが分かる。
ほどほどの大きさで軽く
国内のメーカーに絞ってみると、Sony Reader (7.1インチ)、Libretto W100 (7インチ)、ニンテンドー DSi LL (4.2インチ) と、比較的小さい画面のデバイスが多いことに気がつく。国内ではiPadも出てすぐは大きくて重いというレビューが多かったので、ノートPCのように海外では大型のもの、国内では小型のものが受け入れられやすいのかもしれない。
そしてもっとも気になるのが、タブレット型デバイスに国内のメーカーの存在感がないことである。まだ明らかな勝者のいない群雄割拠のエリアなので、カセットテーププレーヤーを驚くほど小さくして一世を風靡したお家芸を発揮するチャンスであるはずなのに、である。
これまでの傾向を見てみると、タブレット型デバイスも8インチ以上の大型のものと、それ以下の小型のものに分化していくと思われる。国内メーカーは小型デバイスに注力すべきである。ケータイや携帯型ゲーム機からタブレット型端末に進化させても良いだろうし、ノウハウを駆使した新たなデバイスで挑戦してもいい。ターゲットは画面サイズが6インチで重さは200g。スマートフォンの倍程度の大きさになる。
このタイミングでなんとかApple+台湾メーカーに一矢報いておきたいものである。