常時接続の影の出費 − 電気代

ADSLの普及世帯数が40万世帯を超え(2001年7月末現在)、常時インターネットに接続しているユーザも多いと思う。そうなると必然的に、家庭内でのパソコン利用が向上する → パソコンも複数台になる → LANを組みたくなる、となるわけである。情報も共有したくなってくる。例えば、デジカメで撮り溜めた画像データがそうである。他のパソコンに保存してあるMP3データの音楽を聴きたくなる。将来的にはパソコンでテレビ録画を行い、ネットワークを通じてどこからでも録画データを見たくなるかもしれない。

そこで、我が家では手始めに簡単なファイルサーバを設置することにした。そこで突き当たったパソコンの消費電力という課題に対して今回は考えてみよう。

電気代が増えた

とりあえずファイルサーバの機能だけで良いので、CD-ROMもついていない、Intel Celeron 300MHzを使ったパソコンをサーバとして組み立て、運用して1ヶ月経ってからである。エアコンも入れていないのに急に電気代が、\4,000も増えたのである。ADSL常時接続の導入もあるし、一概にサーバのみが\4,000分も電力を消費することは考えられないため、パソコンの消費電力を調べてみることにした。

電力計測に用いたのはエコワットという、タップとコンセントの間につなげるだけで、つないである電気機器の消費電力を計測してしまう便利な小物である。

計測結果

我が家のパソコン2台(1台はサーバ)、ADSL接続用機器と参考までに職場のデスクライトを測定した結果が以下の表だ。

機器 消費電力 料金 機器の説明
サーバ 64〜65W \1,014〜\1,027 CPU:Celeron 300MHz・・・CD-ROMもついていない、最小構成
パソコン 79〜107W \1,246〜\1,687 CPU:Pentium3 1GHz・・・DVD-ROM、CD-RWなど、周辺機器が充実した、我が家のメインマシン
ADSLモデム 7W \110 NTTよりレンタルしているADSLモデム
ルータ 8W \133 ADSL接続に利用しているブロードバンド・ルータ
ハブ 10W \153 5ポートスイッチングハブ
デスクランプ 23W \377 27W蛍光灯タイプのもの
液晶モニタ 8〜40W \127〜\639 15インチモニタ。(省電力モード)〜(通常モード)
ノートパソコン 16W \246 VAIO C1XF。省電力設定はすべて解除
サーバとパソコンの消費電力は、(CPUをほとんど使っていない状態)〜(100%使い切っている状態)である。
料金は各機器を1ヶ月つけっぱなしにし、1kWh=\22としたときの一ヶ月分の予想電気料金。

考察

この調査結果からすると、増えた電気料金の\1,000分はサーバであり、\300分はADSL接続機器であろうことが分かった。金額的にはそれほど大きくはないものの、毎月\1,300かかると思うとボディーブローのように効いてくるであろう。あるいは、待機電力までも節約しているような家庭ではADSLモデムの\110でも論外な金額であろう。

ADSL接続機器は常に起動しておきたいので、仕方ないとして、サーバの消費電力を何とかできないものか?
別に調べた結果から、サーバの消費電力である65Wの1/3はCPUが消費しているのである。デスクトップ用CPUは、全消費電力の大きな部分を占めている上に、CPU使用率0%でも電力を消費していることから、省電力に関してはまだまだ改善の余地はありそうである。

これから我が国におけるブロードバンド、常時接続環境が向上して、各家庭においてこのような機器が多くの時間つけっぱなしになるであろうことを考えると、我が国の電力事情の将来に少なからずとも不安を抱かざるを得ない。そこで、この課題に立ち向かうためのポイントを以下に挙げる。

  • デスクトップ用CPUにも省電力技術を!
  • パソコン全体の省電力を実現する技術を推進しよう!
  • ネットワーク機器にも省電力技術を応用しよう!

上記のポイントはどれも技術的ハードルとしては、さほど高いものではない。消費者・利用者の省電力への意識を高め、メーカに働きかけることで実現しそうなものである。消費電力を削減することによって、熱くないパソコンも可能になるかもしれないし。