効率化が進むデジタルコンテンツの消費技術

昨今の経済状況からおこもり消費と言われるように年末年始にかけて家にいる人が多かったようだ。テレビを中心に手軽に入手できるデジタルコンテンツも多数消費されたことだろう。ただし、コンテンツの時間に対してほぼ同じだけ時間をかけて消費する必要があるため、消費者にとっては消費を効率化したいとニーズが強い。

消費するコンテンツの拡大

2009年5月から始まった景気対策のためのエコポイントの効果もあり、液晶テレビ等の薄型テレビが多数売れて、地上デジタル放送受信機の世帯普及率がようやく約70%に達するようになっている。最近のアンケート結果によると、内蔵するハードディスクによる録画機能に対する満足度が高い。また、見逃さないように自動で予約録画する機能はソニーのDVDレコーダに搭載されていることはよく知られている。 統計上、視聴時間は減っているが、今まで見ていなかったコンテンツを見る機会も増えている。

また、放送コンテンツだけではなく、P2Pよりもインターネットを流れる動画コンテンツのトラフィックの割合も大幅に増える予測を出すレポートも報告されている。2012年には月間22EB(EBは1TBの100万倍)のデータ量になると予想されている。特に、IPTVによる動画コンテンツが増えると予想されている。

視聴端末の自由化

ところで、テレビ放送に限らず、インターネットで供給されるデジタルコンテンツは増えているものの、多数あるコンテンツを短縮してみる方法は現状では提供されていない。そこで、まず考えられるのは、溜まったコンテンツを空いた時間に手間暇かけずにどこでも消費することである。

例えば、外出先で見られるように、一部のハードディスクレコーダーやDVDレコーダーには、SDカードなどにワンセグ映像を同時に記録する方法もある。多くの場合には、MPEG-4などの形式に時間をかけて携帯端末向けに再度エンコードする方法が取られている。再生時間の1/4から1/2程度かかるため、長時間の映像をコピーするためには手間がかかる。

その一方で、2008年から運用されているダビング10を始め、デジタルコンテンツには著作権保護の仕組みがあるため、消費者には不便なことも多い。例えば、デジタル機器が普及するにつれて、放送された映像を録画してもほかのテレビでは簡単には見られない、などの問題はあまり知られていない。ネットワークにつながっていながら、録画した機器で再生する以外には、地デジのコンテンツはダビング10に対応しているため、DVD等の外部メディアにコピーすることは可能な場合もあるが、HDDには直接アクセスできない。

こうした不便を解決するために、ネットワーク越しにコンテンツを共有するために、DTCP-IP(Digital Transmission Content Protection)という方式が導入されている。デジタル放送でつけられている著作権保護方式とは異なり、受信した端末側で再度つけ直すことで、家庭内で利用できるようにする仕組みである。この機能によりLAN接続されているテレビがあれば、サーバに相当する機器からコンテンツを見ることができる。著作権保護を必要としないコンテンツであればDLNAによる共有も可能だ。

映像解析技術による効率化

モバイル端末等の都合に合った端末で再生することで空き時間を使うだけではなく、ホームサーバになる機器に溜め込んだコンテンツを解析、認識することにより、必要な部分のみを消費する方法もある。例えば、バラエティ全盛のテレビ放送コンテンツの場合には、特定の芸人のみを見たいとニーズもあるようだ。それらの機能を液晶テレビに組み込んだ製品も発表されている。

今後の可能性

現状では、既存の放送コンテンツから編集された違法コンテンツが多いものの、ブログやTwitterなどテキストメディアのCGM動向を考えると、携帯電話端末の多くは、3GP形式として動画をメール送付する機能もあり、iPod nanoにも動画撮影機能を有しており、簡単に撮れる映像が大量発生することになる。家電の中にも再生する環境も増えており、コンテンツを扱う機会が増えるのは間違いない。撮られた映像コンテンツのほとんどは消費されることもなく、消えて行くことになるが、消費者のニーズに答えるには検索技術だけではなく、時間短縮して見せる技術が注目されるだろう。